2013年11月6日水曜日

SNSのススメ

 最近落ち着いてきた感はあるが、一時期SNS(特にTwitter)でのつぶやきを契機に、「炎上」が相次いだ。若者を守るためにSNSを止めろというのは簡単だが、特定のサービスの利用を禁止した所で類似したものはすぐに出てくるだろう。
 僕がインターネットの世界にはじめて出会ったのは23歳の時で、当時はまだ正体もわからず不気味な世界だった。でも小さな頃からインターネットが当然のように存在する世代にとっては、インターネットでの生活はそんなに怖くないし、身体の一部なんだろう。身体の一部を切り離すなんて無理な話だ。
 そこで、大学教員という立場から、SNSにかかわる以下の誤解を解くことで、SNSを禁止するのではなく、上手に使いこなすための方法を考えてみたい。

誤解その1:匿名でやっていればバレない
 確かに自分は匿名かもしれない。ただオンラインでのつぶやきやアップロードした写真、他人との絡みによってかなりの確率で本人を特定できる。それにTwitterは匿名でやっていたとしてもFacebookは本名でやっている人がほとんどだから、TwitterとFacebookのアカウントを結びつけられたらあっという間にバレる。

誤解その2:騒ぎになったら消せばいい
 ふとした拍子に不適切なつぶやきをしてしまったり写真をアップロードしてしまったとする。その後自分で気付いて削除、あるいは他人に指摘されて削除するとしよう。でもオンラインでやり取りをしているということは不特定多数の人が見ている可能性があるということ。一瞬であったとしてもどこかの誰かがその写真やつぶやきを保存している可能性がある。多くの場合はそんなに大きな問題にはならないが、一度注目されてしまうとその不適切なものは際限なく「拡散」していく。そして一旦「拡散」してしまえば、それをすべて削除するのは不可能だ。

誤解その3:誰も見ていないだろう
 通常であれば誰もあなたのことを気にするほど暇ではない。でも一度注目されてその情報が「拡散」し始めると止めようがない。つまらない比喩で言えば、自分がちょっとした芸能人だと思えばいい。最初はYouTubeで歌ったりしているだけかもしれないが、そのうちご当地アイドルになるかもしれない、そしてひょっとすると全国区の芸能人に!今は知名度が低いかもしれないけれど、人気が出るタイミングなんて誰にもわからない。一度人気が出てしまえば過去の発言や行動も掘り出されてしまう。芸能レポータの取材力を侮ってはいけない(我ながら意味のわかりにくい喩え)。

誤解その4:LINEだったら安全だろう
 確かにLINEはクローズドなやり取りなので、普通に考えれば安全にみえる。でもそこでのやり取りや写真をTwitterで「拡散」する友だちだっている。何より相手にスクリーンショットを撮られてしまえば、LINEであろうが全く関係なく「拡散」する(個人的なやり取りを許可なく晒すのは良くないと思うけど)。


 SNSの基本設定では、情報が自然に拡散するようになっている。SNSの使い方がわからないのであれば、鍵をかけたり公開の範囲を友人のみにするなど、まずはプライバシーの設定を見直すべきだと思う。ただオンラインでやり取りしている以上、情報が流出する可能性は常に意識しておく必要がある。正直な話、僕だってどこからがアウトなのかわからない。ただし、法律に触れる話や自分そして友だちのプライバシーにかかわる写真やつぶやきには十分注意をするべきだ。

 このようなことさえ気を付けておけば、SNSはいろんな人と出会える素晴らしいツールだと思う(とは言え、SNSを効果的に使っている人は少ないと思うので、この話はまた別の機会に)。フォロワーやフレンドじゃない人だってあなたのメッセージを読んでいるのだ。怖い気もするがそこが面白い。

2013年9月25日水曜日

2013年度前期授業アンケート

 前期末に行った授業アンケートの集計結果が返ってきたので、まとめておきます。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。ちなみに質問項目は2分類に分かれており、以下の通り。

【授業の体系性】
1.授業内容は授業計画と一致していましたか。
2.授業のねらいや学習目標は明解でしたか。                                
3.授業時間や授業回数はきちんと守られていましたか。             

【教授方法・講義内容】
1.教員の話し方や声の大きさは適切でしたか。    
2.教員は学生の質問などに適切に対応していましたか。    
3.学生の反応や理解度をみながら授業が進められていましたか。
4.学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか。                
5.授業の内容は理解できましたか。                                        
6.授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。
7.教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。
8.教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。
9.黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。
10.課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。

「英語研究III」履修者数66名(回答者数48名)
【授業の体系性】 設問平均4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.7)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.8(科目別平均4.6,受講者数平均4.5)

 テーマは「英語コミュニケーション論」で、コミュニケーションに関連する分野を広く浅く学ぶ授業です。講義はスライドを使って行い、講義資料(スライドや動画)や授業外での議論はMoodleを使って行います。【授業の体系性】【教授方法・講義内容】とも高評価をしていただきましたが、「授業の内容は理解できましたか。」は4.6(科目別平均4.5、受講者数別平均4.3)、「授業を通して新しい知識や内容は理解できましたか。」は4.6(科目別平均4.5、受講者数別平均4.4)は改善の余地ありだと思います。

【自由記述欄】
・広く浅く内容を取り扱っていたので、他の授業とつながる部分もいくつかあって理解が深まったこと。
・授業内で使用していたパワーポイントがあとからMoodleで見返すことができる点。聞き逃したところ、書き逃したところが分かるから。
・難しい理論や考え方を実際に生徒側の活動を通して分かり易すく解釈できる授業でした。
・先生が一方的に話すのではなく、話し合いの時間が設けられたり、ゲームをする機会があって、新しい知識が頭に入りやすかったです。
・考える時間を適度にとってくれたので、理解や定着につながりました。授業内のルールを設けてくれたので、積極的に授業に参加することができました。
・ノートに写す時間をもう少し長くしてほしい。

【総括】
 基本的にスライドはMoodle上で公開しているので、メモを取る程度で良いという話はしているのですが、それでもノートを取る時間が欲しいというコメントがありました。来年度は改善したいと思います。このような講義科目では、できるだけ関心を持ってもらうように話をしようとしているのですが、授業開始時から参加してくれない学生がいたので、その辺りの対応には少し苦労しました。

「英語科教育法II」履修者数21名(回答者数20名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.9(科目別平均4.6,受講者数平均4.7)

 英語教育法I〜IIIの流れの中で、IIでは主に(1)タスクの作成、(2)4技能の評価、について説明した後、各グループごとにタスクを用いたミニ模擬授業を行ってもらいます。その授業をもとに受講者間で意見交換し、後日Moodle上でミニ授業に対するコメントを書き込んでもらいます。前年度の反省を踏まえ、今年は欲張りすぎずタスクの作成に焦点を当てた指導を行いました。

【自由記述欄】 
・模擬授業のような形で、自分たちで授業案等を考えてやったのは、授業に集中する上でとても良かったし、グループワークとしてもすごく良かったです。また、自分たち以外のグループの発表を聞くのは、色々な発見があり、知識が深まりました。前に立って生徒たちに教えていくことの難しさをはじめて知り、自分が思っている以上に大変なことだということが分かりました。
・模擬授業で意見をいってもらえること。
・模擬授業の経験が大変勉強になりました。1つの授業のために、かなりの時間を費やして準備すべきだと思ったし、予想される生徒の反応についてもきちんと対応できるようにしたいと思いました。
・やはり自分たちで授業を作って実際に行うことで、自分たちの授業の改善すべき点を見つけることができたり、また他のグループのレベルの高い授業を見ることで、その良い所を自分たちの授業に取り入れることもできるので、授業の作り方を学ぶ上でこの授業は欠かせないものだと感じました。
・テキストが中・高対象にしては難しく、タスクが作りづらい。タスク作りのみ実際の教科書を使ってやりたい。学生間に授業に対する温度差を感じた。何とかできればしてほしい。

【総括】 
 テキストの難しさについては検討したいと思います。この授業の目的は、難しいテキストの教材研究を真剣に行うことで、自身の英語力向上につなげてほしいという所にあります。他の授業と比べて厳しめのことをたくさん言いますが、本気で教員になりたいと思う人たちへのエールだと考えてもらえると嬉しいです。

「初等英語教育論」履修者数39名(回答者数39名)
【授業の体系性】 設問平均4.9(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.7(科目別平均4.6,受講者数平均4.6)

 2013年度より新たに担当し始めた授業で、小学校教員を目指す学生を対象としています。言語習得理論の概要を説明し、それを実際の指導案に落とし込み模擬授業をしてもらうという授業方式を採用しました。

【自由記述欄】 ・にぎやかでよい雰囲気だったところ。
・英語をどう教えればいいか学べた。
・模擬授業で英語を使う機会があったこと。
・映像や、音声など諸感覚を刺激するような内容で興味を持って取り組めました。
・課題の発表の際、個人で固定せず数人で自由に組ませたり、発表している人に対してコメントを書くようにしていた点。座学の中で、一方的に話をするのではなく皆の様子を見ながら授業を進め、VTR等も活用していたこと。
・パワーポイントの字の大きさをもう少し大きくしてほしいです。
・説明が少ない。パワーポイントがはやい。
・模擬授業はDVDを見せて欲しい。
・もう少し英会話や英語の筆記問題を取り入れてほしい。

【総括】 スライド上に多くの文字を詰め込みすぎたので、みんなノートを取るのが辛そうだなというのは感じていました。来年度以降の課題にしたいと思います。また理論的な側面が多かったため、難しいと感じた人が多かったようです。1つの授業で言語習得理論の説明と英語力の向上を目指すのはなかなか難しいですが、改善策を検討します。 


2013年4月5日金曜日

2013年度のはじまり

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 15週授業になってから大学は慌ただしくなっており,3月29日に英語のプレースメントテスト,4月1日に入学式,そこから新入生は数々のガイダンスを経て今日4月5日からいよいよ授業がスタートします。

 大学教員にとって入学式,卒業式の時期は教師冥利に尽きる時期です。いろいろな思いを抱えながら不安と期待の入り交じった表情をしている新入生。大学デビューで髪を染めてオシャレをしていてもどこかあどけなく,かつ凛としています。この時期の気持ちそして目の輝きをすぐに失ってしまう人も多いのだけど,この4年間ほど自分の好きな学問を究められる時期はありません。サークルやバイト,課外の活動にも励みつつ,常に「学業に励む」ことを中心にした生活を送ってもらえればと思います。

 年度始めは大学の教職員も新入生の気持ちを盛り上げようと必死なので,何かとうるさいことを言いたがりますが(笑),かなり的を射たこと言っている場合もあります。僕も言いたいことはたくさんありますが,一言だけ。

We are always here to help you.

大学生活をどのようなものにするかはみなさん次第です。入学おめでとうございます!

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2013年3月22日金曜日

卒業式

 2013年3月19日に卒業式が行われました。学長をはじめ様々な方からの祝辞がありましたが,印象に残ったのは本学の卒業生で現在オタフクソースの社長である佐々木氏の「ぞうきん洗い」の話でした。それは彼が大学時代にやっていたガソリンスタンドでのアルバイトの話でしたが,簡単に見えるぞうきん洗いそして窓ふきがいかに難しいかということ,そしてその単純なことを頑張っていれば必ず誰かが認めてくれること,についてお話しされました。この話を聞きながら,ふと以前読んだブログの記事を思い出しました。

  いざ就職して仕事を始めると辛いことの方が多いことでしょう。でも単純なことでも真剣に頑張っていれば認めてくれる人がいるはず。私自身も今自分が置かれている状況について改めて考えさせられるお話でした。自分も含め年を重ねていくと話したいことが多くて長話になりがちですが(苦笑),辛抱して聞いていると良い話に出会えることもありますね。

  卒業生のみなさまのご活躍を心より応援しています!そして大学教員にとっては長かった年度の終わりです。そろそろ気持ちを切り替えなきゃ。

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2013年3月4日月曜日

2012年度後期授業アンケート

後期末に行った授業アンケートの集計結果が返ってきたので,まとめておく。設問は各5点満点(A=5,B=4,C=3,D=1の加重平均)。 ちなみに質問項目は2分類に分かれており,以下の通り。

【授業の体系性】
1.授業内容は授業計画と一致していましたか。
2.授業のねらいや学習目標は明解でしたか。                                 
3.授業時間や授業回数はきちんと守られていましたか。               

【教授方法・講義内容】
1.教員の話し方や声の大きさは適切でしたか。      
2.教員は学生の質問などに適切に対応していましたか。      
3.学生の反応や理解度をみながら授業が進められていましたか。 
4.学習に対する興味・関心を刺激する授業でしたか。                 
5.授業の内容は理解できましたか。                                         
6.授業を通して新しい知識や理論、考え方が分かるようになりましたか。 
7.教員は私語など受講マナー上の問題に対して適切に対処していましたか。
8.教材(テキスト、プリント、レジュメ、スライド、ビデオ等)は、授業内容を理解する上で役立ちましたか。 
9.黒板・ホワイトボード・プロジェクタ等の使用は適切でしたか。
10.課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。

「ゼミナール II」履修者数15名(回答者数10名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.9(科目別平均4.6,受講者数平均4.7) 

【授業の体系性】【教授方法・講義内容】とも高評価をしていただきました。ただ少人数の演習形式の授業は評価が高くなる傾向になるので,低いものに関しては改善していく必要があります。改善すべき項目としては「授業内容は理解できましたか。」(4.4(科目別平均4.5, 受講者数別平均4.5))です。今年度は難しめのテキストを採用したということもありますが,もう少し理解を深めるような対策を考えたいと思います。また「授業を通して新しい知識や理論、考え方がわかるようになりましたか。」(4.7(科目別平均4.6, 受講者数別平均4.6))も専門知識の教授を主目的とするゼミナールクラスとしては厳しい評価だと思います。嬉しかったこととしては,難しいテキストだったということもあるのかもしれませんが,ほぼ全員の学生が1時間以上(そのうち2時間以上も40%)授業の前後に学習してくれていたようだということです。

【自由記述欄】
・皆に発表が回ってくること(良かった所としてのコメント)。
・難しかったけど、めげずに頑張ってもっと予習しとけば、もっと授業が楽しくなったんだろうなと思いました。
・面白かったけど、その分内容が難しかった。 

このように「難しかった」というコメントが目立ちました。

「Reading & Writing II」履修者数32名(回答者数27名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.9(科目別平均4.6,受講者数平均4.7) 

授業内でMoodleを利用した活動をメインに行っている授業。前期に引き続き同じクラスの担当でした。前期の平均はそれぞれ4.9、4.9だったので,少し評価が良くなったのは嬉しい。前期に引き続き、【学習態度の自己評価】にある「この授業科目について、授業の前後に合計してどれくらい勉強しましたか?」という項目を確認してみる。

2012年度前期
3時間以上: 19.2%(科目別構成比11.5, 受講者数別構成比14.2)
2~3時間以内: 11.5%(科目別構成比7.5, 受講者数別構成比9.1)
1~2時間以内: 7.7%(科目別構成比12.2 受講者数別構成比19.0)
30~1時間以内: 26.9%(科目別構成比17.5, 受講者数別構成比22.1)
30分以内: 30.8%(科目別構成比24.4, 受講者数別構成比21.3)
全く勉強していない: 3.8%(科目別構成比26.7, 受講者数別構成比14.1)

2012年度後期
3時間以上: 11.1%(科目別構成比10.8, 受講者数別構成比14.2) 
2~3時間以内: 0.0%(科目別構成比8.8, 受講者数別構成比9.8) 
1~2時間以内: 18.5%(科目別構成比12.8 受講者数別構成比17.3) 
30~1時間以内: 25.9%(科目別構成比16.6, 受講者数別構成比24.0) 
30分以内: 33.3%(科目別構成比23.8, 受講者数別構成比22.1)
全く勉強していない: 11.1%(科目別構成比27.0, 受講者数別構成比12.3) 

後期になってここまで学習時間が減少するというのは問題だとおもうので、2013年度は何らかの対策を考えます。前期はとても雰囲気が良かったので安心していたのですが、後期は一時期クラスの雰囲気が悪くなったことがありました。このあたりのことも影響しているのかもしれません。反省します。

  【自由記述欄】 
・分かりやすいし、楽しいし、90分間があっというまに過ぎる授業でした。ミニッツペーパーを書いて、返事がすごくたのしみでした。
・1つ1つ問題を解く度に、ちゃんとみんなわかっているか呼びかけながら授業展開していたところが良かったです。また教室を見回ってすぐに呼び止めたら、わかりやすく説明してくださったのも良かったです。
・予習で解いてきた問題がミニテストに出るのはいいのですが、せっかくやってきても間違えていたら、それをそのままテストに答えるので、同じことを書くなら、意味がないんじゃないかと思いました。=こちらの狙いは「自分で正解を導きだすまで丁寧に解きなさい」ということだったのですが、伝わっていなかったようです。ですが、この指摘は理解できるので、対応したいと思います。
・エッセイの直し方がいまいちわからない。どこがまちがっているのかは、わかるがどう直したらいいのかわからないときがある。=授業のねらいは「パラグラフレベルの英文を正確に書けるようになる」ことなので、エッセイの指導(ETSのCriterionを利用)まですることができませんでした。改善します。

「英語の諸相II(英語の意味論・語用論)」履修者数60名(回答者数48名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.8(科目別平均4.6,受講者数平均4.6) 

敢えて英語の難解な専門書をテキストに指定し,その内容を解説することを主眼に置いた授業。専門的なことを妥協せず面白くやる授業が理想なので,この授業ではスライドや視聴覚教材もあまり使っていません。評価が低かったのが,「授業の内容は理解できましたか。」(4.7(科目別平均4.5,受講者数別平均4.5)),「課題(発表、レポート、小テスト等)は、勉学を深める上で役立ちましたか。」(4.7(科目別平均4.6,受講者数別平均4.6))です。後者は毎年あまり高くないので何らかの対策を考えたいと思います。

【自由記述欄】 
・学生への気遣いが授業に感じられました。納得のいかない表情を浮かべている学生を見逃さず再度説明をしてくれる点は、とても良かったです。=いつも心掛けていることなので嬉しいです。
・授業の始めに前回の復習をするためスムーズに入れる。例えが多くて難しいこともわかりやすい。
・先生のエピソードがおもしろく、説明もわかりやすくて、毎回この講義が楽しみになるほどでした。
・なぜそうなるのかわからなかった文法についての謎が解けたこと。普段生活している中でこれは語用論なのかなと気にするようになったこと。 =こういう感想も嬉しいですね。 ・元々抽象的な分野だと思うので、より具体例を用いてほしい。スクリーンの解像度が低いので逆に使わない方が良いと思う。=例をだいぶ用いているつもりではありますが,検討します。スクリーンの解像度については確かにあの部屋は悪いのですよね…。
・またこの授業をとりたいと思いました。=え?単位が要らないってこと?(笑)

「英語II」履修者数55名(回答者数45名)
【授業の体系性】 設問平均5.0(科目別平均4.8,受講者数平均4.8)
【教授方法・講義内容】 設問平均4.9(科目別平均4.6,受講者数平均4.6) 

2012年度後期は特例として非英語専攻生の英語クラスを担当しました。eラーニングを用いた授業ということで,Moodle上にBBC作成のThe Flatmatesの動画を載せて毎回活動を行う形式を採りました。また課外ではぎゅっとeのリスニング問題を毎週20問解かせ,授業の冒頭に小テストを行いました。簡単だと思った動画だったのですが,非英語専攻生にとっては難しかったようで最初の数回の授業では眠たそうな顔をしたりつまらなそうな顔をする学生が多数。慌てて授業の進行方法を修正し,Dictglossもどぎのことをやったり繰り返しリスニングさせたり活動もたくさん取り入れました。最後はみんな笑顔になったのでとても良かったです。

  【自由記述欄】 
・リスニングを多くできたので聞きとりの力はついたと思う
・会話を聞いてその意味を考える等、高校でやったことあるような内容から、日常会話で使える英語等、これからも役立つようなことまで様々でおもしろい授業でした。
・英語なのに授業が楽しかった。嫌いな英語を少し好きになりました。
・先生がやさしい。パソコンを使って授業するのはいい。教え方もいい。内容が理解しやすい。
・毎回の授業で、常に新たなことに取り組んでいたので、あきることなく、たのしく学べた。ストーリーで授業がすすんでいくので、毎回の授業がたのしみだった。
・英語は苦手だし、朝イチからあるし、木曜1限はすきじゃなかったけれど、先生の授業が楽しくて、木曜1限、今は大好きです。
・ベレボー=???

2013年1月16日水曜日

私の英語学習歴

 以前英語教育2.0というブログで「私の英語学習歴」企画があったのですが乗り遅れてしまいました。ただいつかはまとめてみたいと思っていたので,時期外れではありますが,自分の英語学習歴についてまとめてみようと思います。

  小学生時代
 英語を勉強した訳ではないのですが,なぜか「モクモク村のケンちゃん」のことは覚えています(最近アプリにもなったようです!)。内容は覚えていませんが,いくつかのフレーズを子ども心に暗記したようで,”What’s your name?”と”How are you?”は言えるようになりました。小学校低学年の遠足のときだったと思うのですが,たまたま観光に来たと思われる外国人がタクシーから降りてきました。そこで興味半分で暗記していた2つの表現を利用し,見事に相手から答えが返ってきたので友だちに自慢した覚えがあります。ですが,表現は覚えていたものの自分が聞かれたときの返し方は覚えていなかったので,外国人に同伴していた日本人に「自分のこともちゃんと答えなきゃ。」と言われました。

  中学生時代
 中学校1年生のときの英語教員はおじいちゃん先生でした。「おい,お前らこれ覚えとけ。」と動詞の活用表を渡され,それさえ覚えていたらテストでは高得点を取れたものです。惰性で英語を勉強していたのですが,高校受験を意識し始めた中学校3年生の頃,いきなり英語の点数が伸び悩むようになりました。そこで友だちも通っていた近所の学習塾に行き始めました。そこの英語担当教員は極端なぐらいシンプルに英語を教える人(現在某学習塾のトップ!)で,今でも覚えているのは「不定詞,動名詞,両方取る動詞はそれぞれ3つずつ覚えておけ!」と言うような人でした。ですが英語の知識が体系化されておらず困っていた私にとっては,彼の指導が本当に役立ちました。

  高校時代
 高校時代に出会ったのは若い英語の先生で,当時にしては珍しく授業をほとんどすべて英語で行う先生でした(現在も広島県内の高校で活躍されています)。彼の授業はとても刺激的で,英語に対する興味が高まりました。その他にも受験対策としていわゆる単語集や即戦ゼミ,通信講座なども受講しましたし,ラジオ番組の「百万人の英語」を聞くために早起きしたり(でも寝ぼけていたのでほぼ睡眠学習),大手予備校の集中講座のようなものも受けました。センター試験では幸い高得点を取ることができましたが,明示的な英語知識はほとんどなく,感覚的なものでした。

  大学時代
 「英語=英語英文学科」という安易な考えで,大学の英語英文学科に進学しました。最初の頃のオリエンテーションで先輩に「大澤君は何で英語英文学科に来たの?」と聞かれ「英語が話せるようになりたかったからです。」と意気揚々と答えました。すると即座に「そんなの無理よ。」と一笑に付されたのを覚えています。学部時代の授業は文学作品を丁寧に訳読していくというスタイルの授業がほとんどでした。不真面目な大学生活を送っていて2年生になった頃,女子学生の多くが夏期休暇期間中に語学留学をするということを知りました。そこでその流れに乗り,イギリスに1ヶ月間語学留学することにしました(イギリスを選んだのは文学はやはりイギリスだろうというプレッシャーがあったから)。この1ヶ月は楽しいことばかりでした。ヨーロッパやアジアの国の人たちと多く知り合うことができたし,後に大学院進学を決意したときにお世話になった高校の先生にも出会うことができました。1ヶ月はあっという間に過ぎ去り,「いつか今度は1年以上英語圏で勉強してみたい!」という思いを強く持つようになりました。当時は学部生が留学をするというのは珍しかったので,某教官に「イギリスに1年間留学したいんですけど。」と聞いたら「学部生ではちょっとね…。」と渋い顔をされたものです。

 そう言えばこの頃某Y○C○Aにも通っていました。思いつきだったので入れるクラスが少なく最初に入ったのが同時通訳コース(すぐに飽きた),次にTOEFL試験対策コース(試験対策ばかりで面白くなくなった)を受講しましたが,長続きはしませんでした。

  大学も2年次になってくると専門的な授業が増えてきます。その中で興味を持ったのが,文体論の視点から文学作品を読んでいく授業でした。そこで文体論を専門とする先生のゼミナールを希望し,卒業論文ではディケンズの『大いなる遺産』を文体論的な視点から分析しました。当時は喫煙に対する意識も低かったので,ゼミ教室では先生は灰皿を目の前に置きタバコを吸いながら授業をしていたものです。何とも言えずその姿が格好良かった(関係ない話ですが)。4年生になり周りの学生が就職活動を始め続々と就職先を決めていく中で,私だけは迷っていました。当時の志望は中・高等学校の教員だったのですが,教員になるにはあまりにも英語力が足りない。そこでいきなり大学院に進学することを決意しました。それも専攻をかえて英語教育に!当時はアメリカ文学史やイギリス文学史を勉強すると共に,A.J.トムソン, A.V.マーティネット著『実例英文法』という文法書も読み込みました。

  大学院修士課程時代
 進学したのは大学院大学とよばれる大学で,同級生には現職の中・高等学校の教員がたくさんいました(彼らとの出会いはとても貴重で今でも交流があります)。同級生に現職の先生がいることで,「教育現場」に関する問題意識を持つことにとても役立ちましたし,英語力をはじめとして様々な面で劣っていたので,授業でおいていかれないように必死で2年間勉強しました。TOEICは今ほど利用されている試験ではありませんでしたが,大学院入学直後に受験したTOEICのスコアは730程度(同時期に受験した英検準1級は合格)。英語教員を目指す学生としては大して英語のできる学生ではありませんでした。そこから必死に英語教育関連の文献を毎日のように読み進めました(自分のノルマとして毎日20-30ページの論文を1本読むということを課していました)。そこで感じたのは「英語教育関連の文献ってなんて簡単な英語で書いてあるんだろう!」ということでした。大学時代は毎ページのように辞書を引いて真っ黒になるぐらい単語の意味を書き込まないと読めない本ばかりでしたが,論文で使われている英語はとても簡単だということを知りました。そして2年間勉強した訳ですが,学部時代に抱いた「留学をしたい。」という思いが消えることはありませんでした。そこで修士2年目の時にイギリスの大学院修士課程に進学することを決め,TOEFLの試験も受験し何とか基準をクリア(具体的なスコアは忘れましたが確かPBTで550以上?)したので留学できることになりました。ですが,周りが就職を決めていく中でまたしても私一人だけが何もしていないのを不憫に思ったのか,ある先生が「博士課程に進学しないか?」と誘ってくれました。当時は博士課程に進学することなど夢にも思わなかったのですが,修士課程修了(3月)後,イギリス大学院進学(9月)まで間が空いてしまうよりは学生という身分があった方が良いだろうという軽い気持ちで博士課程進学を決意しました。

  イギリス留学時代
 イギリスの修士課程は1年間で前期は授業,後期は論文執筆という流れでした。「イギリス=少人数教育」という勝手なイメージを持っていたのですが,同じ専攻に3-40名程度在籍する大所帯でした。この1年間はインプットからアウトプットの期間でした。日本の大学院修士時代までは読むことがほとんどだったのですが,ここでは論文を読んだ上でエッセイを提出することを求められます。毎日のように英語を読み毎日のように英語を書き,楽しいことがありつつも本当に大変な毎日でしたが,何とか無事に修了することができました。ここでわかったのは大学院レベルの留学ともなると英語力よりも知識が重要だということです。既に知っている分野の授業はほとんど苦労しませんでしたが,全く知らない分野の授業は非常に苦労しました。日本で修士課程を修了していた分,変な自信を持っていたのですが,英語を読むにしても書くにしても力不足で,その自信は見事に打ち砕かれたのを覚えています。

 大学院博士課程時代
 そして日本に帰ってきて博士課程の学生を続けました。これまでと同様,論文を読む毎日でしたが,それに加えて当時の指導教官から言われた「英検1級,TOEIC900以上」(なぜこの目標を提示されたかはわからない)を目標に実用的な英語の勉強も開始しました。と言っても試験のために勉強するのは嫌だったので,雑誌TIMEを継続して読みわからない単語を文と一緒にノートに書き写す,文法書を1冊読み込むといった作業を行いました。その結果,博士課程が終わる頃には両方ともクリアすることができました。このような英語試験の実績がすべてではありませんが,ようやく自分の英語力に少し自信が持てたのを覚えています。

  その後
  そしていろいろありながら現在に至ります。思い返してみるといわゆる試験勉強と呼ばれる学習方法が嫌いで,英文法や語彙などを機械的に暗記するのも苦手でした。そのかわりできるだけたくさんの本や論文を読み,インプットを多量に得ることを心がけました。そのためか,自信を持って明示的に自分の英語の知識(文法や語彙)を説明することはできず,中学校,高校,大学と苦労しましたが,それでもそれなりの英語力(それなりというのがポイントで大した英語力ではなかった)を保っていたように思います。英語の文法などについて明示的に説明できるようになったのは実は大学で教えるようになってからです。大学で教えるという立場になり,説明をするために様々な文法書や英語学の本を読んだことによって,ようやく今までのインプットが明示的な知識として定着した気がします。  

 このように,「英語学習」を意識的にやったことはないので,お勧めできる英語学習法や本などはないのですが,やはり多量にインプットを得ることはとても重要だと思います。また文法用語をいちいち暗記する必要はないと思いますが,いわゆるコロケーションや基本的な文法のパターンを明示的な知識として持っておくことは重要です(高校のときに機械的に繰り返し勉強した『即戦ゼミ』は当時は大嫌いでしたが今は自動化された知識として活きています)。ここまでに至る英語学習は何だかジグソーパズルのようで,英語力というパズルを完成させるために足りないピースを探していく過程でした。今もまだ英語学習は継続中ですし,足りないピースを探す活動は続くと思います。